戸建てにかかる修繕費はいくら?計画的な積立が必要
日本の住宅は新築志向やメンテナンス不足により平均30年で取り壊され、欧米と比べて寿命が短いです。住宅を長持ちさせることで費用節約や資産価値維持、環境負荷の軽減が期待できます。
戸建てで必要となる修繕は外壁や屋根が多く、平均修繕費は約532万円です。定期点検や良質な建材の使用が重要で、修繕費の積み立ても推奨されます。
目次
日本の住宅は長持ちしない?
日本の住宅は、世界的に見るとその寿命が短いという指摘があります。平均的に、住宅が取り壊されるまでの築後経過年数は約30年とされており、これはイギリスの約140年やアメリカの約90年と比較すると、かなり短いものです。
この短い寿命は日本独自の社会的・文化的背景に起因しており、主に新築物件を好む傾向や住宅に対する価値観が大きく影響しています。また、日本では家のメンテナンスやリフォームの意識が低いため、古くなった住宅がそのまま取り壊されてしまうことも多いのが現状です。これらの要因が重なり、結果として住宅の寿命が短くなっているのです。
出典元:国土交通省
◇日本の住宅が長持ちしない理由
日本では、新築住宅に対する強い需要があります。多くの消費者は「新しい家に住むこと」を価値と捉えており、築年数の古い家よりも新築を選ぶ傾向にあります。このため、古い家は早い段階で取り壊され、結果として住宅の平均寿命が短くなるのです。
また、生活水準の向上に伴い、住宅設備やデザインに対する要求が高まり、最新の設備や快適な住環境を求める動きも、新築志向を加速させています。
◇住宅を長持ちさせるメリット
住宅を長持ちさせることには、多くのメリットがあります。まず、住宅を長く使用することで、新たに住宅を購入・建築する必要がなくなるため、住宅費の負担が軽減されます。これにより、家計の節約や資産の有効活用が期待できます。
また、定期的にメンテナンスを行い、住宅の状態を良好に保つことで、資産価値も維持または向上します。さらに、長期的に住宅を使用することは、建て替えに伴う廃棄物の発生を抑え、環境への負荷を減少させることにも繋がります。
これらの理由から、住宅を長持ちさせることは経済的にも環境的にも大きな利点があります。
住宅を長持ちさせるには?
愛知県で住宅を長持ちさせるためには、最初に良質な住宅を建てることが不可欠です。また、建てた後も定期的な点検や修繕を怠らずに行うことが、住宅の寿命を延ばすための重要な手段となります。
こうした取り組みが、長期間にわたって安心して暮らせる住環境を維持するために必要です。
◇良質な住宅を建てる
住宅を長持ちさせるための第一歩は、品質の高い材料を使い、適切な施工を行うことです。耐久性の高い建材を使用することで、外壁や屋根などの重要な部分が長期間劣化しにくくなります。
特に、日本の気候や風土に適した建材を選ぶことが大切です。たとえば、耐震性に優れた建材を使用することで地震からの被害を最小限に抑えることができ、長く快適に住み続けることが可能です。
また、建築時には将来的なメンテナンスを考慮した設計を行い、修繕がしやすい構造にすることも、住宅の寿命を延ばすポイントとなります。
◇定期的な点検・修繕を行う
住宅を長持ちさせるためには、定期的な点検と修繕が不可欠です。外壁や屋根、シーリング部分など、劣化しやすい箇所を定期的にチェックし、必要に応じて補修を行うことで、建物全体の寿命を延ばすことができます。
また、点検を怠ると、外壁の小さなひび割れや屋根の漏水が見逃され、後々大規模な修繕が必要になることがあります。早期に対応することで、費用を抑えることができ、建物の耐久性を保つことができます。
特に日本では自然災害が多いため、被害が発生した際にはすぐに点検を行い、適切な処置を施すことが大切です。
戸建てにかかる修繕費は?
住宅を維持するためには、修繕費がかかることを考慮しなければなりません。特に戸建て住宅は、自分自身で修繕費を負担する必要があり、その額は年数とともに増加します。
ここでは、一般的な戸建て住宅にかかる修繕費について解説します。
出典元:at home
◇戸建てにかかる修繕費
戸建て住宅の修繕費は、建物の構造や築年数によって大きく異なります。木造住宅では、これまでにかけた修繕費の平均が470.2万円、鉄筋・鉄骨造では617.7万円というデータが出ています。
これらを合わせた平均総額は532.1万円であり、これが戸建て住宅にかかる修繕費の目安となります。こうした修繕費用は定期的に積み立てておくことで、急な修繕が必要になった場合にも対応できるように準備しておくことが推奨されます。
◇修繕費を積み立てている人の割合
修繕費を事前に積み立てている人の割合は、わずか8.3%に過ぎないという調査結果があります。これに対して、修繕費の積み立てを行っていない人が91.7%を占めており、修繕費用の準備ができていない家庭が大半を占める現状です。
修繕費を積み立てておくことで、急な修繕が必要になった際に資金不足に悩むことなく対応でき、住まいの安全性を確保することが可能です。
◇修繕が必要になりやすい場所
修繕が必要になる場所として、最も多いのが外壁であり、その割合は75.9%に達しています。次に多いのが屋根で69.3%、その次がトイレで68.8%という結果が出ています。
これらの部分は住宅の外部に位置し、風雨や紫外線にさらされやすいため、劣化が進みやすい箇所となります。特に外壁や屋根は、住宅全体を守るための重要な要素であり、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
火災保険で戸建ての修繕ができる?
画像出典:フォトAC
火災保険は、自然災害や事故などによって損傷した住宅を修繕する際に利用できる場合があります。特に、戸建て住宅の修繕費用は高額になることが多いため、火災保険の利用が大きな助けとなることがあります。
ここでは、火災保険が適用されるケースとされないケースについて詳しく説明します。
◇火災保険による戸建ての修繕が可能となるケース
火災保険は、火災だけでなく、台風や豪雨などの自然災害による損傷にも適用される場合があります。たとえば、台風による屋根の損傷や、落雷による設備の破損などがその対象となります。
こうした損傷が発生した場合、保険会社に修繕費用を申請することができ、その一部または全額が補償されることがあります。ただし、保険の適用範囲は契約内容によって異なるため、詳細を事前に確認しておくことが重要です。
◇火災保険による戸建ての修繕ができないケース
一方、経年劣化や日常の摩耗による損傷は、火災保険の適用外となります。これは、保険が予期せぬ事故や災害による損傷をカバーするためであり、通常の老朽化や自然な消耗に対しては保険金が支払われません。
こうしたケースでは、自己負担で修繕を行う必要があるため、定期的な点検やメンテナンスが重要となります。
◇火災保険による修繕を行う際の注意点
火災保険を利用して修繕を行う際には、いくつかの注意点があります。まず、保険金の申請には、被害の原因や範囲を明確にする必要があります。
また、保険金の請求期限が定められていることが多いため、早めに手続きを行うことが推奨されます。
加えて、保険の適用範囲を超える修繕費用については自己負担となることがあるため、総額の確認も忘れずに行うことが重要です。適切な保険申請と修繕計画を立てることで、安心して修繕を進めることができます。
日本の住宅は平均30年で取り壊され、イギリスやアメリカと比較して寿命が短いです。これは新築志向やメンテナンスの意識の低さが原因です。
住宅を長持ちさせると費用を節約でき、資産価値が維持され、環境負荷も軽減されます。良質な建材や定期的な点検・修繕が必要です。特に外壁や屋根の修繕が多く、費用は平均約532万円です。修繕費用は積み立てが推奨され、火災保険で自然災害時の修繕がカバーされる場合もあります。