分譲マンションのリフォームはどこまでできる?起こりえるトラブルも解説
分譲マンションのリフォームでは、専有部分と共用部分の違いを理解することが重要です。リフォームできるのは専有部分のみで、壁や床の変更、配管の移動などが可能ですが、共用部分、例えばベランダや玄関ドアはリフォームできません。
また、リフォーム前には管理規約を確認し、工事内容によっては規制があるため、事前に管理組合の承認を得ることが必要です。騒音問題にも注意が必要で、近隣住民への事前告知や配慮がトラブル回避に繋がります。
目次
分譲マンションのリフォームを行ってもよい場所は?
一軒家と違い、分譲マンションはそれほどリフォームが必要ないとはいえ、10年、20年と住み続けると、どうしてもリフォームしたい箇所が出てくるものです。マンションには「専有部分」と「共用部分」があり、リフォームできるのは専有部分のみです。その点を考慮し、住宅メンテナンスサービスなどのアイデアを取り入れながらリフォーム計画を立てることが大切です。
◇リフォームできるのは専有部分のみ
分譲マンションなどの共有住宅には、「区分所有」という概念があります。「マンション法」などとも呼ばれる「建物の区分所有等に関する法律」第一条には区分所有に関する明確な定義があり、分譲マンションの持ち主は、建物の区分された部分に対する所有権を有する者を「区分所有者」と呼ばれます。リフォームを考える際には、手を加えられるのは専有部分に限られています。専有部分に関しては、床をフローリングに変えたり、あるいは壁紙を自由に変えたりでき、配管の問題がクリアできればキッチンなどの場所を移動することも可能です。
◇共用部分はリフォームNG
分譲マンションをリフォームする際に気をつけたいのが、共有部分です。マンションのエレベーターや廊下などが 共用部分 なのは簡単に理解できるとしても、ベランダや玄関ドアなどが共用部分であることを意外に感じる方も多いのではないでしょうか。さらに、ベランダ側のサッシなども共用部分に該当します。ベランダは緊急時には避難経路としても使用されるため、リフォームしてサンルームなどとして活用できません。ドアの外に設置されているインターフォンも共用部分のため、勝手に替えられません。
分譲マンションのリフォームで起こりえるトラブル
リフォームしたことによって分譲マンションでトラブルが起こるケースも少なくありません。リフォームする際は、あらかじめマンションの管理規約などを確認した上で、リフォームをするかどうか決定する必要があります。
◇管理規約でリフォームが制限された
専有部分のリフォームは基本的に自由とはいえ、リフォームの内容によっては管理規約で工事方法や用材を制限されることがあります。また、管理組合理事長の承認が必要になるケースも少なくないため、早めに管理組合に問い合わせておくことが重要です。
例えば、床をフローリングに張り替える場合、階下への騒音を防ぐために、定められた遮音等級をクリアした材料を使用する必要があるといった決まりがあります。管理規約によっては、畳張りの床をフローリングにリフォームできないマンションなどもあります。
また、間取りを変えてDKをLDKにしたいというような場合にも、天井に打てるビスの数が制限されていると困難になることがあるため、気をつけましょう。
◇騒音で近隣住人とトラブルに発展した
リフォーム工事の際に発生する騒音も、見逃せない問題です。リフォームでは電気ドリルや電動カッターなどが使用されますが、工事の騒音は時として80~100デシベルにも達し、下階の住人などにとってはかなりの苦痛になることもあり得ます。リフォームの規模が大きくなればなるほど騒音も長引くため、近隣のことも考えてリフォームの規模を決定しなければなりません。
実際に、マンションを大幅にリフォームするスケルトン工事を行った家庭では、下階の住人から訴訟を起こされ、損害賠償として約100万円を支払ったという事例もあります。
分譲マンションのリフォームでトラブルを回避するには
マンションの躯体は騒音が響きやすいコンクリート製のため、リフォームの前には管理規約や住んでいるマンションの固有 ルールをよく確認し、近隣の住民にも事前に告知しておくようにしましょう。
◇管理規約と固有ルールを確認しておく
マンションには、住人が快適な生活を送れるようにとさまざまな規則を定めた管理規約というものがあります。管理規約は国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」を参考に、個々のマンションの管理組合が作成しているものです。管理規約には、共用部分の範囲や使用方法、専有部分のリフォームに関する規制の他に、修繕費用の分担方法なども定められています。
これだけではなく、多くのマンションでは固有のルールも定められています。マンションによってはリフォーム工事業者が指定されていることもあり、水回り設備の移動や配管の交換、フローリングの変更が禁止されているところもあります。こういったルールを遵守しないとトラブルに発展する可能性がありますので、管理組合とはよく話し合うようにしたいものです。
◇近隣住民へ事前告知しておく
マンションのリフォームは、数日間で終わるものから1ヶ月以上の工事期間を要するものまでさまざまですが、工事期間中は用材を搬入したり、作業員が出入りしたりするため、エレベーターが混み合うこともあります。工事中の騒音も含めて、近隣住民にリフォームすることを事前告知しておけば苦情にもつながりにくく、トラブルを回避できます。できれば工事前の事前告知の他に、工事が終わった後も挨拶をしておけばベストでしょう。
これまでどんな人が隣に住んでいるかわからなかった場合でも、「高齢者がいるから廊下に手すりをつけるなどのリフォームをしたい」と説明すれば、多少の騒音が出ても穏やかに受け取ってくれるはずです。
ここまでできる!分譲マンションのリフォーム事例
一軒家ほどの自由度はないとはいえ、分譲マンションもライフスタイルなどに合わせて楽しくリフォームすることが可能です。
◇ライフスタイルに合わせた間取りへ変更
埼玉県新座市 Kさん宅
埼玉県新座市にある築17年のマンションにお住まいのKさん夫妻は、これまでの3LDKを広々とした2LDKにリフォームしました。配管や断熱材に至るまで、すべてを一新するスケルトンリフォームによって、友人や愛犬と楽しめる開放的なLDKが実現しました。キッチンも対面式に変更、ダイニングの天井にはレールライトを採用したモダンなデザインが印象的です。玄関に入るとすぐ洗面脱水場があり、生活動線もよく考えられている快適なお宅です。
◇壁と床のリフォームで雰囲気を刷新
愛知県名古屋市 Sさん宅
最初からリフォームすることを前提に築25年のマンションを購入したSさんのお宅は、和室のある落ち着いた佇まいが印象的です。奥様が営むネイルサロンのスペースはカーキ色のアクセントクロスにブラウンのフローリングでおしゃれ感がいっぱいです。間取り変更はせず、アクセントクロスやフローリングの張り替えによってインテリアをイメージチェンジしたため、費用もかなり抑えられました。
分譲マンションのリフォームを行う際は、専有部分と共用部分の違いを理解することが重要です。リフォームできるのは専有部分のみで、例えば壁や床の変更、配管の移動が可能ですが、共用部分(ベランダや玄関ドアなど)は手を加えることができません。リフォームを行う前に、マンションの管理規約を確認し、工事内容によっては管理組合の承認を得る必要があります。また、騒音トラブルを避けるために近隣住民への事前告知や配慮が求められます。
リフォームの範囲としては、専有部分に限られ、フローリングの変更や壁紙のリフォーム、間取り変更が可能ですが、共用部分には変更ができません。共有部分とは、具体的にエレベーターやベランダ、玄関ドアなどです。例えば、ベランダは避難経路として使用されるため、サンルームなどの設置はできません。
リフォームを行う際のトラブルを避けるためには、管理規約や固有のルールを確認し、リフォーム内容が規制に合致しているかを確認することが重要です。例えば、フローリングに変更する場合、遮音等級を満たす必要があり、間取り変更には制限があることもあります。また、騒音が発生するため、工事前に近隣住民へ告知することが推奨されます。
事前の確認や配慮を徹底することで、リフォームによるトラブルを避け、スムーズに工事を進められます。リフォーム事例としては、間取りを変更して広々としたLDKを実現したケースや、インテリアを刷新するために壁紙やフローリングを変更したケースがあり、ライフスタイルに合わせたリフォームが可能です。